
米下院は今月、対台湾外国軍事資金(FMF)5億ドル(約750億円)を含む歳出法案を可決した。この資金は実在し、その背後にある政治的シグナルは明確である。そして、この動きはホワイトハウスが台湾防衛に関して沈黙している時期に打ち出された。
トランプ大統領は5月15日に北京で習近平中国国家主席と会談して以降、台湾向けの大規模な新たな武器パッケージを承認していない。トランプ氏はこの会談での交渉材料として、従来計画されていた140億ドル相当の武器売却を差し控える決定を下したと説明している。以来、公的な発表はなく、保留期間は2カ月を超えた。
議会がこの沈黙を埋めている。7月15日に下院を通過した2027会計年度歳出法案に含まれる5億ドルのFMFは、特定の武器売却を認可するものではない。台湾が武器や訓練、関連サービスを取得するための資金を提供するものである。しかし、たとえ行政府が選択肢を検討している最中であっても、立法府が台湾防衛から手を引いていないという明確なメッセージを発している。
台北の国防安全研究院のアナリスト、黄忠霆(ホアン・チョンティン)氏は、この資金供与は、ホワイトハウスと中国との交渉により対台湾軍事支援に長期的な制約が生じることを議会が回避しようとしていることを示していると分析している。
この法案はなお上院通過とトランプ大統領の署名が必要である。しかし署名されれば、政権に対し資金の執行が義務づけられ、ホワイトハウスが静かに対台湾支援を凍結することが難しくなる。
140億ドルのパッケージはなお宙に浮いた状態にある。専門家らは、トランプ氏が米国に習氏を招くとされる9月以降まで、少なくとも発表は行われないと見込んでいる。トランプ氏の遅延には、北京との交渉、米国の武器在庫の見直し、ホワイトハウス内の精査、習氏訪問前に大規模な対台湾武器取引の発表を避けたい意向など、複数の要因が反映されている可能性がある。
一方、中国人民解放軍は台湾近郊、しばしば幅161キロメートルの海峡内で軍事演習を強化し続けている。台湾の防衛需要は次のトランプ・習首脳会談を待ってはくれない。そして議会は、少なくとも、待つつもりはないことを明確にしている。
雅子 訳

