ミラ・ムラティ率いるThinking Machines Lab、米国最大のオープンウェイトモデル「Inkling」を公開

元OpenAI CTOのミラ・ムラティが設立したAIスタートアップThinking Machines Labは、初のモデルとなる9750億パラメータの巨大モデル「Inkling」を公開した。これは現在市場で最大のアメリカ製オープンウェイトAIモデルである。

寛容なApache 2.0ライセンスのもとで公開されたInklingは、混合エキスパート(MoE)システムであり、任意のタスクに対して総パラメータのうち約410億を活性化する。テキスト、画像、音声、動画にわたる45兆トークンでゼロから学習され、100万トークンのコンテキストウィンドウをサポートする。アーキテクチャは256のルーティングエキスパートと2つの共有エキスパートを使用し、トークンあたり6つのエキスパートが活性化される、DeepSeek V3に着想を得た設計である。

このモデルはDeepSeek V4、GLM 5.2、Kimi K2.6といった中国のオープンウェイト最先端モデルと競争力を持つが、ベンチマークスコアではAnthropicやOpenAIのプロプライエタリシステムに依然として劣る。その重要性はあらゆるチャートでトップを取ることよりも、オープンソースAIコミュニティを悩ませてきたギャップを埋めることにある。2024年のMetaのLlama 3.1以来、真に高性能なオープンウェイトモデルをリリースしたアメリカの研究所は存在しなかった。

Inklingをネイティブ16ビット精度で実行するには相当なハードウェアが必要となる、約2テラバイトのGPUメモリ、つまりNvidiaのB300アクセラレータ約8基またはH200 16基分に相当する。Thinking Machinesは半分のGPUで済むNVFP4量子化バージョンも公開している。同社のTinkerプラットフォームはファインチューニングとカスタマイズのためのツールを提供する。

このモデルのより珍しい能力のひとつは、自身のファインチューニングスクリプトを作成できることだ。「Thinking Machinesは、このモデルが自身の動作を洗練し、新しいスキルを自学し、能力を評価するためのファインチューニングスクリプトを作成できると主張している」とThe Registerは報じている。同社によると、Inklingは強化学習で訓練された連鎖思考推論を使用し、Terminal Bench 2.1ベンチマークでNvidiaのNemotron 3 Ultraに匹敵しながら、思考トークンを約3分の1に抑えられるという、ただし、それらのトークンには依然としてコストがかかり、より長い推論チェーンはユーザーにとってより高いAPI料金を意味する。

InklingはHugging Face上で識別子 `thinkingmachines/Inkling` として、またTogetherAI、Fireworks、Modal、Databricks、Basetenを含むサードパーティのAPIプロバイダーを通じて利用可能である。サポートされる推論エンジンにはvLLM、SGLang、Llama.cpp、TokenSpeedが含まれる。

より小型のバリアントであるInkling-Smallは、2760億パラメータ、120億のアクティブパラメータを持つMoEとしてプレビューされており、レイテンシ重視のアプリケーションをターゲットとしている。その重みはテスト完了後に公開される予定である。

ムラティとThinking Machines Lab、約18ヶ月間、ほぼ公の視線から離れて開発を進めてきた、にとって、Inklingは、フロンティアを支配してきた画一的なAIモデル哲学に対するより広範な賭けにおける最初の公的な証明点である。

雅子 訳

出典:“Former OpenAI CTO does what Altman won’t, releases a frontier AI model that’s actually open”(The Register、2026年7月16日);“Thinking Machines amps up its bet against one-size-fits-all AI with its first open model, Inkling”(TechCrunch、2026年7月15日)

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