ノーログを謳うVPNが全てを記録していた疑い、SplitVPN流出データが示す実態
7月21日、サイバー犯罪フォーラムAltenenの出品者が、17ギガバイトのSQLアーカイブを出品した。これは、以前はNotVPNとして運営されていたロシアのサービスSplitVPNのインフラから持ち出されたとされるものだ。出品内容には2340万件のユーザーレコード、1360万件のデバイスレコード、そして完全なプライバシーをうたうマーケティングを行ってきた同サービスにとって最も打撃となる5800万件の接続ログが含まれるとされた。
1週間後、分散型VPNプロバイダーであるMysteriumの研究者は、アーカイブのコピーを入手し、その内容を生のエクスポートデータと直接照合して検証したと発表した。彼らの結論は、件数が出品者の宣伝内容とほぼ完全に一致しており、それは捏造されたものではなく、実際に手つかずのデータベースファイルに期待される一貫性だというものだった。ファイルはMySQL 5.7インスタンスからのmysqldumpエクスポートで、データベースには内部ラベルnotvpnが付けられ、60以上のテーブルにまたがっていた。
約束と矛盾するテーブル
中心となるのはdeviceProxyテーブルだ。これはデバイス、プロキシサーバー、Unixタイムスタンプを対応付ける最小限の構造で、Mysteriumは約5800万行を数えた。タイムスタンプは2025年6月からアーカイブが売りに出された時点まで途切れなく続いていた。言い換えれば、同サービスは侵害される直前まで接続レコードを書き込み続けていたようだ。
これは、活動ログや接続ログを一切保存せず、ユーザーデータは完全に保護されていると主張してきた同社の説明と矛盾する。
一つ重要な点がある。このテーブルが記録しているのは、どのデバイスがどのサーバーノードにいつ接続したかという接続メタデータであり、ユーザーが訪れたウェブサイトではない。研究者は、閲覧先が記録されていたとする出品者の示唆を明確に訂正した。しかし、これはまさに同サービスが保存しないと約束していた種類のレコードだ。ユーザーテーブルに保存されたメールアドレスと最終接続IP、デバイステーブルのハードウェア指紋と組み合わせれば、タイムスタンプから、特定のアカウントがいつどのノードでアクティブだったかの詳細な状況を再構築できる。その再構築は数千万件のレコードに対して一度に機能する。
ファイルに含まれるその他のデータ
ログ以外にも、データベースにはメールアドレス、最終接続IP、国、OSとアプリのバージョン、購読ステータスを含む約2340万件のユーザーレコード、AppleのidentifierForVendor UUID、MD5デバイスハッシュ、プッシュ通知トークンを含む約1360万件のデバイスレコード、そしてマスクされたカード番号、有効期限、RebillId定期課金トークンを含む、Tinkoffゲートウェイ経由の約260万件の決済レコードが含まれていたとされる。完全なカード番号は含まれておらず、標準的な先頭6桁・末尾4桁のマスクのみだが、メールアドレス、支払い履歴、定期課金トークンの結び付き自体が機微な情報だ。流出データには、5つのアカウント、bcryptパスワードハッシュ、完全な操作ログを持つ管理パネルも含まれている。
アカウントの大半はロシア、イラン、インド、ミャンマーに由来する。これらの国々では、VPNの利用が国家によるインターネット規制を回避する唯一の手段であることが多い。そうしたユーザーにとって、メールアドレスとIPとタイムスタンプを結び付けるレコードは抽象的なプライバシー上の煩わしさではない。実在の人物が政府の規制を回避しようとした証拠であり、その証拠が現在、犯罪フォーラムで流通している。
同社の反論
これに対し、SplitVPNはTechRadarに対し、ファイル内のアカウントレベルのメタデータ(メールアドレス、国、購読ステータス、マスクされたカード番号、デバイス名)は本物だと認めた一方、deviceProxyテーブルはアーカイブの価値を高めるために作られた捏造だと述べた。同社は、デバイス、サーバー、タイムスタンプを記録する類のレコードを一切作成も保存もしていないと否定し、流出した内容はノーログ方針が許容する基本的なアカウント情報に過ぎないと述べた。また、全VPNノードのIPアドレスを交換し、認証情報と暗号鍵を変更し、悪用された脆弱性を修正し、外部のセキュリティ監査を依頼したと述べ、業務は通常に戻ったとしている。
どちらの主張も外部から完全に検証できるものではない。Mysteriumの手法(テーブルスキーマ、AUTO_INCREMENTカウンター、サンプリングした行を生のファイルと照合する検証)は、ログが本物であることを示す最も強力な独立した証拠だ。同社の否定は意図の表明であり、技術的な実証ではない。Have I Been Pwnedは8月1日にこの侵害を追加し、86万5300件の固有のメールアドレスを掲載した。
教訓は設計にある
どちらの主張が真実であれ、今回の事件はノーログモデルの構造的な弱点を露呈している。一般的なVPN構成では、すべてのユーザーのトラフィックがプロバイダー所有のインフラを通過し、データベースに何が保存されるかを決定するのは契約者ではなくプロバイダーだ。監査できない約束は、信頼のみに依拠する約束だ。だからこそ、業界で最も信頼されるプロバイダーは、独立した監査、RAMのみのサーバー設計、大規模なログ記録を構造的に困難にするアーキテクチャを受け入れている。
元NotVPNまたはSplitVPNユーザーへの実践的な助言は明快だ。関連するメールアドレスとIPを侵害されたものとして扱い、使い回しのパスワードを変更し、二要素認証を有効にし、VPN利用に言及するフィッシングに注意し、特にTinkoff経由で支払っていた場合は、請求明細に身に覚えのない定期課金がないか監視することだ。メタデータが本物なら、それは今や運営者の管理外に存在しており、いくら否定しても状況は変わらない。
雅子 訳

