
SpaceXAIは8月12日、主力モデルシリーズの最新版となるGrok 4.6を公開した。ソフトウェア開発と長時間稼働するAIエージェントに照準を合わせたリリースだ。SpaceXが2026年6月にxAIを吸収して設立された同社は、複雑な多段階タスクを最後までやり遂げられるモデルへの需要拡大への対応として、今回の公開を位置づけている。対象となるのは、テーマの調査、大規模なコードベースの中での作業、大まかなアイデアを実際に動作するアプリケーションへと変える作業などだ。
新モデルは前モデルGrok 4.5の50万トークンのコンテキストウィンドウを維持し、ナレッジカットオフは2026年2月1日である。テキストと画像を受け付けてテキストを生成し、推論レベルは設定可能で、ツール利用は関数呼び出し、コード実行、ウェブ検索、X検索に及ぶ。価格は入力トークン100万個あたり2ドル、出力トークン100万個あたり6ドルで据え置かれ、より高速なバリアントは2倍の価格となる。
SpaceXAIによると、Grok 4.6はArtificial Analysisの総合知能指数でGPT-5.6 Solに並び、両者ともスコア61を記録した。首位は62のClaude Fable 5 Maxである。Artificial Analysisによる独立テストも同様の結論を示している。実用的なエージェント型ナレッジワークを測定するGDPval-AA v2ではElo 1753を記録し、Claude Opus 5に次ぐ2位。Claude Fable 5やQwen3.8 Maxとの差は誤差の範囲内に収まるほど僅かだ。同じ分析によると、Grok 4.6はタスクを平均約53ターン、約5億の入力トークンで完了する。一方、最大努力設定のClaude Opus 5は約103ターン、20億トークンを要するため、長時間のエージェント実行では大きなコスト優位が生まれる。
同社自身のベンチマーク表では、Grok 4.5からの改善が全項目で見られる。DeepSWEで11.9ポイント、Terminal-Benchで10.3ポイント上昇し、GDPVal-AA v2、AA-Briefcase、Harvey LABの法律分野ベンチマークで首位を獲得した。コーディング特化の指標では状況はより複雑で、GPT-5.6 Sol MaxがDeepSWE v1.1で73パーセント、Terminal-Bench v3.0で34.6パーセントを記録し、依然として首位を維持している。
学習方法はGrok 4.5が確立したパターンを踏襲しつつ、さらに踏み込んだ。厳選したモデル生成データによるより長い追加学習、改良されたオプティマイザー、推論、STEM、ソフトウェアエンジニアリング、エージェントハーネス、ナレッジワークにわたってGrok 4.5自身が再生成したSFT軌跡(問題のあるトレースは除外)を採用している。強化学習では、カーネル最適化、ウェブ開発、コンピューター支援設計におけるエージェント型タスクを扱った。同社によると、モデルの安全対策は拡張された能力と並行して調整され、展開前テストとしては過去最大規模のスイートで検証された。
提供形態はGrok 4.5の展開を踏襲している。CursorとGrok Buildで利用可能となり、SpaceXAI API経由に加え、OpenRouter、Vercel、Cloudflareといったパートナー経由でも提供される。発表週中はCursorとGrok Buildで利用枠が2倍となる。このタイミングはIPO後のSpaceXAIの速いリリースペースに合致している。SPCXとして上場する同社はコーディングとエージェント業務を競争の主戦場としており、Cursorエディターの買収によって開発者市場への直接的なアクセスと、学習データとなる実際のコーディングセッションを手に入れた。
雅子 訳
Sources: Introducing Grok 4.6 (SpaceXAI, Aug 2026); Introducing Grok 4.6 (Cursor, Aug 2026); Grok 4.6 (xAI Docs, Aug 2026); Grok 4.6 benchmarks and analysis (Artificial Analysis, Aug 2026); SpaceXAI releases Grok 4.6 (9to5Mac, Aug 2026)

