
台湾の検察当局は、中国へのAIサーバー不正輸出の疑いをめぐる捜査の一環として、エヌビディアの従業員を拘束した。世界で最も価値の高い企業の一角が、すでにスーパーマイクロを巻き込み、米国で連邦当局の訴追にも発展した密輸事件に引き込まれる格好となった。
基隆地方検察庁は、先週後半に自宅と勤務先の捜索を行った後、張姓の容疑者を拘束したと発表した。検察は声明で所属企業の名前を明らかにしなかったが、現地メディアは同氏をエヌビディアの従業員と報じている。拘束は、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとの判断に基づく。
今回の逮捕は、台湾当局が、捜査当局が「欺瞞的な再販業者の仕組み」と表現する手法で取得された約50台のサーバーを押収したことに端を発する大規模な捜査の最新の展開だ。その数週間前には、スーパーマイクロの従業員4人が事情聴取のため拘束され、うち2人は審理を待つ間、現在も勾留が続いている。
捜査の端緒は2026年3月までさかのぼる。米司法省は当時、スーパーマイクロと関係のある3人を、輸出規制規則に違反してエヌビディアのAIチップを中国へ密輸した疑いで起訴した。起訴状は、商務省の許可を得ずに約25億ドル相当のサーバーが中国に流入したと推定している。被告にはスーパーマイクロ共同創業者の廖益賢(通称ウォーリー)氏が含まれ、同氏は取締役会を辞任し、4月にマンハッタンの連邦裁判所で無罪を主張した。
エヌビディアは拘束を受け、密輸は自社の事業では成立し得ないと主張する短い声明を発表した。同社は主に、米国の輸出規制の順守を確保するのに役立つ著名なパートナーやOEMに販売しているとし、小規模な輸出業者や出荷であっても世界各地で徹底した審査の対象になると付け加えた。また、転用された製品にはサービス、サポート、アップデートが提供されないと述べた。
この事件は、先進的なAIハードウェアに対する米国の輸出規制と、中国の購入者側の根強い需要との間に広がる隔たりを浮き彫りにしている。取り締まりが強化されるにつれ、捜査の網は企業の取締役会や経営陣から、台北のオフィスで働く個々の従業員にまで及んでいる。
出典: Data Center Dynamics (2026年7月28日); Bloomberg (2026年7月28日); Tom’s Hardware (2026年7月28日)
雅子 訳

