
Moonshot AIは、2.8兆パラメータのオープンウェイトモデルKimi K3をリリースした。オープンライセンスで公開された中では過去最大であるが、注目を集めるパラメータ数は誤解を招くものである。K3が重要なのは、その背後にあるアーキテクチャ戦略、すなわち米国の輸出規制によって中国のAI企業に課されたハードウェア制約に直接形作られた、計算ではなくメモリへの意図的な賭けにある。
K3は、896の専門化されたサブネットワークを持つMixture-of-Expertsアーキテクチャを採用しており、トークンごとにアクティブになるのはそのうちの16のみである。これによりトークンあたりの必要計算量は大幅に削減されるが、2.8兆すべてのパラメータはメモリにロードされたまま、いつでも呼び出せる状態を保たなければならない。モデルはファインチューニング段階から4ビット精度でトレーニングされており、メモリフットプリントは推定5.6テラバイトから約1.4テラバイトに削減されている — Moonshotによれば、「幅広いハードウェア互換性のため」の選択であり、非Nvidiaシリコンへの備えである。
AI Newsが指摘した重要な洞察は、「メモリは個々には目立たない多数のチップにまたがって集めることができる。トレーニンググレードの計算能力は同じようには組み立てられない」というものである。高帯域幅メモリを標的とする輸出規制により、中国のAI企業は米国の競合他社とは異なる制約の下で革新を余儀なくされており、K3のアーキテクチャはその現実を直接反映している。
このモデルはKimi Delta Attentionを導入している。これは、長文書処理において支配的なメモリ消費源となる増大するキー・バリューキャッシュに対処することで、100万トークンコンテキストにおいて最大6.3倍の高速デコードを実現する最適化である。MoonshotはキャッシュコードをオープンソースのvLLMサービングプロジェクトに貢献している。
Arena Frontend Code評価では、K3は1,679ポイントを獲得し、AnthropicのFable 5を抑えて首位となった。しかしMoonshotは、全体的なパフォーマンスは「依然として」Claude Fable 5やGPT 5.6 Solに「及ばない」こと、およびサービングハーネスが過去の思考コンテンツを適切に受け渡せない場合、生成品質が「極めて不安定」になる可能性があることを率直に認めている。また同社は、意図が不明確な場合にK3が「ユーザーに代わって予期しない決定」を下す可能性があること、および主要な米国モデルと比較して「顕著なUXギャップ」が存在することも指摘している。
推奨されるサービング構成には、単一のメモリプールとして配線された64基以上のアクセラレータが必要であり、標準的なオープンソースのサービングツールはまだK3の新しいアーキテクチャをサポートしていない。Moonshotはインファレンスパートナーと連携してこのギャップを埋める作業を進めている。ウェイトは2026年7月27日に公開リリースされる予定である。
価格は入力トークン100万あたり3ドル、出力トークン100万あたり15ドル、キャッシュ入力は0.30ドルに設定されており、Fable 5の出力価格50ドルをはるかに下回るが、DeepSeek V4の0.87ドルやz.ai GLM-5.2の4.40ドルを上回る。
出典:Kimi K3 open-weight model: China’s biggest AI is a bet on memory, not compute(AI News、2026年7月)
雅子 訳

