
2026年8月5日、FDAはモデルナのmFLUSIVAを50歳以上の成人向けに承認した。COVID-19で実績を示したメッセンジャーRNA(mRNA)プラットフォームが、季節性インフルエンザについて承認を得たのは初めてのことだ。この承認は、まれな受理拒否通知(refusal-to-file)とその数か月後の撤回、そして全会一致の諮問委員会投票を経た規制上の長い経緯を締めくくるものだ。さらに、連邦政府が他のmRNAプログラムを同時に縮小している政策環境の中での承認でもある。
承認は2本立てだ。50〜64歳については臨床的有効性に基づく通常承認、65歳以上については免疫原性に基づく迅速承認で、後者は今冬にデータが集まる予定の必須確認試験の結果を条件としている。主要試験「Fluent」は11か国で50歳以上の成人4万805人を登録し、3価mRNAワクチンを標準用量の不活化インフルエンザワクチンと比較した。
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ワクチンは、対照群と比べて確定インフルエンザ様疾患を26.6%減らし、95%信頼区間は16.7%から35.4%だった。株別の相対的有効性は、A/H1N1に対して29.6%、A/H3N2に対して22.2%、B/Victoriaに対して29.1%で、65歳以上では27.4%だった。高齢者を対象とした免疫原性試験では、mRNAワクチンは29日目の抗体応答においてフルゾン高用量(Fluzone High-Dose)に対する非劣性と優越性を満たした。
その代償は反応原性だ。注射部位の痛みはmRNAワクチン接種者の65.8%が報告したのに対し、対照群では29.8%だった。疲労は45.1%対20.3%、頭痛は37.8%対18.0%だった。反応の大半は軽度から中等度で一過性であり、重篤な有害事象に有意な偏りは見られなかった。このワクチンは、WHOが推奨するA/H1N1、A/H3N2、B/Victoria株の赤血球凝集素(ヘマグルチニン)をコードする。B/Yamagataは2020年3月以降、流行が確認されていないため3価となっている。
承認までの異例の道のり
FDAとこの申請の関係は、決して順調ではなかった。2026年2月、当局はまれな受理拒否通知を発出した。当時のCBER所長ヴィナイ・プラサド(Vinay Prasad)が署名したこの通知は、申請には適切かつ十分に管理された試験が欠けており、対照群が高齢者に対する最善の標準的治療を反映していないと主張していた。モデルナはこの通知を公表し、これまでの当局とのやり取りと矛盾すると述べ、安全性と有効性のデータは争点ではないと指摘した。
タイプAミーティングと、承認を年齢別の枠組みに再編した修正申請を経て、FDAは2月18日に方針を転換し、8月のPDUFA期日を設定した。6月には、ワクチンおよび関連生物学的製剤諮問委員会(VRBPAC)が9対0で2回投票し、1回目は50〜64歳への通常承認、2回目は65歳以上への迅速承認に賛成した。委員会は、単一シーズンのデータしかないこと、インフルエンザBの症例が限られていること、他のワクチンとの同時接種が未検証であることを懸念事項として挙げた。
但し書き付きのプラットフォームの勝利
この承認は製造上の優位性を裏付ける。mRNAインフルエンザワクチンは、株の決定からロット製造までの期間をおよそ2〜3か月に短縮できる。一方、卵ベースの製造には6か月のリードタイムが必要で、卵馴化変異が生じることもある。モデルナは2026-27年の呼吸器ウイルスシーズンに向けた供給を見込んでおり、今後数週間のうちに一部の小売店で取り扱いが始まる。希望小売価格は発表されていない。EU、カナダ、オーストラリアでは審査が進められている。ファイザーの競合mRNAインフルエンザワクチン候補は、インフルエンザAに対する有効性がフルゾンより34.5%高いという結果を示したが、B型株では及ばず、FDAへの申請はまだ行われていない。
その但し書きはカバレッジだ。CDCの予防接種実施諮問委員会(ACIP)は連邦裁判所の差止命令により招集と投票を禁じられており、mFLUSIVAは現在、民間保険での円滑な適用、メディケア・パートBでの支払い、小児ワクチンプログラム(Vaccines for Children)での購入に必要なACIP勧告を得られていない。承認と同じ週に、HHSはBARDAが資金提供するmRNAワクチン開発を縮小すると発表し、22の試験的プログラムを停止した。初のmRNAインフルエンザワクチンは登場したが、米国人が実際に接種できるかどうかは、それ自体が流動的な規制の仕組みにかかっている。
雅子 訳
Sources
- モデルナのプレスリリース(2026年8月5日)
- FDA VRBPACブリーフィング資料(2026年6月18日)
- Leroux-Roelsら「Efficacy and Safety of an mRNA Seasonal Influenza Vaccine in Adults」、N Engl J Med 394(18):1803-1813(2026年)
- ロイター(2026年8月6日)、AP通信(2026年8月)、STAT(2026年8月5日)
- HHSのプレスリリース(2026年8月5日)
- Nature Biotechnology(2026年3月)(RTF/方針転換)

