
第1ラウンドは、ワシントンの介入と、ロンドンが静かに要求を取り下げることで幕を閉じた。第2ラウンドはより範囲が狭く、より静かで、今や審判所の日程に載っている。アップルは7月、英国政府による英国ユーザーの暗号化されたiCloudバックアップへのアクセス要求(修正版)に異議を唱える新たな申し立てを提出し、調査権限審判所は9月にケースマネジメント審理を予定した。
論争の焦点は、アドバンスト・データ・プロテクション(ADP)と呼ばれるツールだ。これは、iCloudバックアップや写真、メモなどのデータカテゴリにエンドツーエンド暗号化を拡張する任意設定である。これを有効にすると、アップルは鍵を保持せず、法的な強制があっても内容を読み取ることはできない。まさにそのことが政府の要求を厄介にしている。要求に応じるということは、ファイルを引き渡すだけでなく、サービスを弱体化させるか再設計することを意味するからだ。
現在の争いは2025年の初めに端を発する。当時、英国は調査権限法に基づく技術能力通知書を秘密裏に発行し、アップルにADPで保護されたバックアップへのアクセスを提供するよう命じた。技術能力通知書は機密扱いの命令であり、暗号化が施されていても法執行機関がデータに到達できる技術的手段を企業に構築させることを強制できる。アップルはこれに対し、英国の顧客向けのアドバンスト・データ・プロテクション提供を打ち切り、同じ審判所で命令に異議を唱えた。この要求が二国間のプライバシー協定に違反した可能性があると主張したトランプ政権からの圧力を受けて、英国は2025年8月に当初の通知書を撤回したが、その2カ月後には、米国のアカウントではなく英国のアカウントに適用される代替通知書を発行した。
アップルが現在異議を唱えているのは、まさにこの代替通知書だ。フィナンシャル・タイムズが伝えた詳細によると、7月に提出されたアップルの申し立ては、政府が技術能力通知書を発行する権限そのものを争う内容だ。通知書は法定の秘密の対象となるため、アップルの主張の中身は公開されていない。同社も内務省(Home Office)もこの件について話すことはできず、両者ともコメント要請に応じなかった。
審判所は人権団体プライバシー・インターナショナルに新しい申し立てを通知した。同団体はキャンペーン団体リバティとともに、技術能力通知書に異議を唱える並行訴訟をすでに審判所で進めており、これまでの提出書類では、この問題には明確な公共の利益があるとしてアップルの主張を公開の場で審理するよう求める一方で、報じられた通知書が合法的かつ必要で、適切に秘密扱いされたものだったのか、またそうした通知書の背後にある法制度自体がそもそも擁護可能なのかを疑問視していた。来月のケースマネジメント審理で、2件の申し立てをどのように併せて進めるかが決まる。審判所は判断時期を明らかにしていない。
アップルの公式の立場は両ラウンドを通じて一貫している。自社の暗号化を迂回する仕組みはこれまで一度も導入したことがなく、今後も導入しないと述べ、そうした機能があれば、命令の対象となる顧客だけでなくすべての顧客のセキュリティが弱まると主張している。昨年、英国市場からアドバンスト・データ・プロテクションを撤去した際には、この措置により英国の顧客がデータ侵害に対してより脆弱になったと述べた。
この問題の影響は一企業にとどまらない。英国がアップルに暗号化の弱体化を強制すれば、同じ法的な手法が他の政府にも利用可能になる。プライバシー団体は、その結果が、国家がエンドツーエンド暗号化にどこまで圧力をかけられるかについての前例になると主張している。9月の審理は、すでに1つの政府要求を乗り越え、今や2つ目の要求が試されているこの争いにおける最初の公的な節目となる。
雅子 訳
Sources: Apple challenges UK government’s latest demand for iCloud backdoor: report (TechCrunch, Aug 3, 2026); Apple launches legal challenge against UK government demand to access data (The Guardian, Aug 3, 2026); Apple Files New Legal Challenge Against UK iCloud Backdoor Order (iClarified, Aug 3, 2026); Apple launches second legal challenge to UK iCloud backdoor order, per report (9to5Mac, Aug 3, 2026); Apple Takes Its iCloud Encryption Fight to a UK Tribunal (Briefs, Aug 3, 2026)

