AMDとCerebras、競合関係から一転、分離型AI推論システムで協業へ

AMDとCerebras Systemsという、AIアクセラレーターの顧客獲得で競合するのが常であった両社が、2026年7月23日、AI推論のワークロードをそれぞれのハードウェアで分担する技術提携を発表した。この分離型設計は、AMDのInstinct GPUを中心に構築されたHeliosラックスケールシステムと、CerebrasのWafer-Scale Engineを組み合わせ、各段階に最適なハードウェアが推論を処理する。

このアーキテクチャは推論を二つのフェーズに分ける。AMD Heliosはプロンプト処理と大規模コンテキスト計算を担当する。これはモデルがユーザーの入力を解析し、関連コンテキストを組み立てる高スループットの段階である。その後、CerebrasのWafer-Scale Engineがトークン生成、すなわち低レイテンシと高メモリ帯域幅が最も重要となるデコードフェーズを引き継ぐ。両エンジンは統一APIを通じて単一の推論ワークフローとして動作する。

AMDとCerebrasは、Kimi 2.6の1兆パラメーターモデルを用いた内部モデリングに基づき、この統合システムがCerebras単独構成と比較して、1ワットあたりの1秒間のトークン数で最大5倍の性能を発揮すると主張する。この指標が重要な理由は、AI推論がチャットボットからリアルタイムエージェント、ロボティクス、コパイロットへと拡大する中で、トークンあたりのエネルギー効率が導入コストと実現可能性を直接左右するからだ。

AMDのCEOであるLisa Su氏は声明で「AI推論はAIにおける最大のインフラ機会の一つになりつつあり、その多様化にはより柔軟なアプローチが必要です」と述べた。CerebrasのCEOであるAndrew Feldman氏は今回の提携をアクセス拡大の取り組みと位置づけ、「AMDとの提携により、さらに多くの顧客にその性能を提供する素晴らしい機会を得られます」と語った。

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両社が同じユースケース向けに設計されたハードウェアを販売している点で、この提携は注目に値する。AMDのInstinct GPUはNvidiaのデータセンター向け製品群と直接競合する一方、Cerebrasはシリコンウェハーを個別のダイに切断するのではなく、ウェハーサイズのチップを製造することで極限のシングルダイ性能を提供し、両者に対する代替案として自社のウェハースケールチップを位置づけてきた。この分離型アプローチは、現代の推論におけるメモリ帯域幅を大量に消費するプロンプト処理段階と、レイテンシに敏感なデコード段階の両方に最適な単一アーキテクチャは存在しないという認識に基づいている。

Cerebrasは自社のデータセンターにAMD Heliosシステムを導入する計画で、統合ソリューションは2026年下半期にまずCerebras Cloudを通じて提供される。この発表はAMDの「Advancing AI 2026」イベントの一環であり、同事業ではHeliosラックスケールシステムとInstinct MI400シリーズGPUのローンチも発表された。

Sources: AMD and Cerebras announce ultra-low-latency AI inference solution (AMD Newsroom, Jul 23, 2026); AMD partners with Cerebras for AI inference system (DCD, Jul 23, 2026); Cerebras press release (Cerebras, Jul 23, 2026)

雅子 訳

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