RAM危機から1年:AI需要がメモリーの経済をどう書き換えたか

1年前、32GBのDDR5メモリキットを100ドル未満で購入できるのは珍しいことではなかった。現在、同じ買い物には、在庫が見つかればの話だが、ほぼ2倍の費用がかかる。民生用メモリー市場は構造的な変化によって一変した。業界アナリストによると、これは従来型の好況・不況のサイクルではなく、世界のシリコンウェーハ生産能力の恒久的な再配分だという。

根本的な原因は単純明快だ。AIデータセンターがかつてない速度でメモリーを消費している。NvidiaのGPUに搭載される各HBM(高帯域幅メモリー)スタックには高度なDRAMが必要だが、それは民生用PCやスマートフォンに搭載されるDDR5モジュールやNANDフラッシュチップと同じ工場で生産されている。サムスン電子、SK Hynix、マイクロン・テクノロジーの大手メモリーメーカー3社は、民生用部品よりも利益率の高いエンタープライズ向け部品を優先しており、このため供給が逼迫し、価格は記録的な水準に押し上げられた。

TrendForceのデータによると、従来型DRAMの契約価格は2026年第3四半期だけで前期比13〜18%上昇した。部品市場の調査会社の集計では、民生用DRAMの価格はこの1年で80〜90%急騰した。NANDフラッシュ価格も同様の軌跡をたどり、第3四半期には10〜15%上昇した。

影響は価格だけにとどまらない。IDCは2025年末、メモリー不足がAI PCの流れを頓挫させる恐れがあると警告した。MicrosoftのCopilot+対応デバイスは最低16GBのRAMを必要とし、ハイエンド機種はすでに32GBへと移行しつつあるためだ。スマートフォンメーカーも同じ圧力に直面している。ミッドレンジ機種ではメモリーが部品表(BOM)の15〜20%を占めることもあり、OEM各社は価格の引き上げか仕様の削減、あるいはその両方を迫られている。

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自作PCやゲーミングのコミュニティにとって、状況は特に深刻だ。ホワイトボックス組み立て業者や中小のシステムインテグレーターは大手OEMのような在庫の交渉力を持たず、スポット市場の変動に最もさらされている。その結果、ミッドレンジのゲーミングPCの組み立て費用は12か月前より大幅に高くなっており、当面の改善の見通しは立っていない。

メモリー業界は新たな工場(ファブ)の生産能力を増強しつつあるが、製造工場の稼働には18〜24か月かかる。それまでの間、AIサーバー向けのHBMスタックに割り当てられるウェーハ1枚は、ミッドレンジのスマートフォンに搭載されるLPDDR5Xモジュールに回されないウェーハ1枚を意味する。この計算式は1年間変わっておらず、近い将来変わる見込みもない。

雅子 訳

出典: Tom’s Hardware (2026年7月29日); TrendForce (2026年7月3日); IDC (2025年12月)

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