AMD、Zen 7戦略でEPYCを3系統に分化 AI時代を見据えた三本柱

AMDはサンフランシスコで開催した「Advancing AI 2026」において、次世代Zen 7アーキテクチャを従来のような単一のラインアップではなく、3つの異なるEPYCプロセッサファミリーで展開する計画を発表し、積極的なサーバCPUロードマップを示した。この動きは、データセンターが直面する演算、メモリ、アクセラレーションの多様な要求に対して単一のアーキテクチャでは対応できなくなりつつある中で、AIワークロードがサーバチップ市場を根本的に変革している実態を反映したものとみられる。

2028年に投入予定のZen 7世代は、EPYC Florence、EPYC Ferrara、EPYC Fidenzaの3系統に分割される。FlorenceはメインストリームのEPYCファミリーとして位置づけられ、高コア数のフラッグシップ向けプラットフォームSP7と、コスト重視の展開向けプラットフォームSP8の両方をカバーする。FerraraはAI最適化型のラックスケールソリューションとして位置づけられ、Helios 600システムにおいてAMDのInstinct MI600アクセラレータと組み合わせて使用する設計となっている。Fidenzaは特定のワークロードセグメントに特化してラインアップを補完する。

3ファミリーはいずれもZen 7コアアーキテクチャを共有するが、それぞれの対象ワークロードに合わせて異なるチューニングが施される。全ラインに共通する新機能として注目されるのがACE AI Compute Extensionsで、CPU内部で直接行列乗算やAI推論を加速する。これは、GPUレベルだけでなくサーバプロセッサ内部でもNVIDIAの専用AIハードウェアに対抗するというAMDの意図を示すものといえる。

Zen 7プロセッサは次世代のMRDIMMおよびLPDDRメモリ規格にも対応し、現在のサーバメモリアーキテクチャでは対応が困難な大規模モデル推論の帯域幅要求に応える。これらのチップはTSMCの先進プロセスノード、おそらくA16またはA14クラスで製造される見通しである。

Quality journalism takes time and resources. Your support helps us focus on accuracy instead of advertising.

Help us grow

AMDはまた、コードネームEPYC Ravennaと呼ばれる次世代Zen 8アーキテクチャを2030年に投入することを確認したが、アーキテクチャの詳細、コア数、プロセス情報などは明らかにされていない。

今回の発表の背景には、過渡期にあるサーバCPU市場の状況がある。従来型の汎用サーバチップは、アクセラレータやドメイン特化型プロセッサによって補完・代替されるケースが増えている。AMDはEPYCラインをAIに明確に位置づけられた3系統に分割することで、AIノードのホストプロセッサ、従来型ワークロードの演算エンジン、そしてスケール推論向けの最適化プラットフォームという、すべて同一のコアアーキテクチャをベースとしながらも異なるパッケージングとプラットフォーム戦略によるCPUポートフォリオの提供を目指している。

この戦略はAMDのHeliosラックスケールシステムロードマップにも影響を与える。2027年に登場するHelios 500はEPYC Verano CPUとInstinct MI500アクセラレータを組み合わせる。2028年のHelios 600はEPYC FerraraとInstinct MI600に移行する。空冷および液冷の同一ラックフォームファクター内でCPUとアクセラレータのロードマップを整合させる動きは、AMDが2020年代後半まで緊密に統合されたCPU-GPUペアをAIインフラの支配的なトポロジーと位置づけていることを示唆している。

雅子 訳

Sources: AMD splits Zen 7 into three EPYC families for 2028 (Tom’s Hardware, July 27, 2026); AMD confirms Zen 7 Epyc Florence for 2028 (TechSpot, July 25, 2026); AMD EPYC Zen 7 Florence confirmed with ACE (Phoronix, July 2026)

Scroll to Top