
この6週間に発表された2件のランダム化比較試験は、SARS-CoV-2感染の急性期に服用した薬剤がロングCOVIDを予防できるかを検証した。一方の試験は、自らが定めた統計的基準を満たした。もう一方は満たさなかった。この2件を合わせると、薬理学的な早期介入が感染後の持続性疾患のリスクを減らせることを示す初のランダム化比較試験のエビデンスとなる。結果の傾向は、ロングCOVIDの測定方法が、研究者がそれについて主張できる内容をどれほど深く形作るかを示している。
最初の試験は、医学誌The Lancet Infectious Diseasesに7月16日付で掲載された。抗ウイルス薬ニルマトレルビル・リトナビル(パクスロビドとして販売)を、急性COVID-19で症状が出てから5日以内の18歳から65歳の非入院成人144人を対象に検証した。ノルウェー国内の3施設で実施されたPANORAMIC Norway試験は、ベルゲン大学のオッドバル・オッペゴール氏とニナ・ランゲラン氏が主導した。参加者は、ニルマトレルビル300 mgとリトナビル100 mgの組み合わせ、またはプラセボを1日2回、5日間投与された。
ニルマトレルビル・リトナビル群に割り付けられた66人のうち17人(26%)が、3カ月時点で持続する疲労、息切れ、または認知症状を報告した。プラセボ群に割り付けられた77人のうちでは33人(43%)だった。プラセボ群で欠測だった1件の転帰についてデータを補完した後、相対リスクは0.60、95%信頼区間は0.37~0.98、p値は0.039だった。
この試験は当初、2000人の参加登録を予定していた。運営委員会は、COVID-19の検査率の低下と、パンデミックの急性期は過ぎたという広範な認識が原因で参加者の募集を続けることが不可能になったため、試験を早期に中止した。144人という規模では信頼区間は広く、p値は慣例的な0.05の閾値のすぐ下にとどまっている。
ニルマトレルビル・リトナビル群では5人の参加者が有害事象のために治療を中止した。最も多かった副作用は味覚異常または味覚消失で、投薬群では66人中57人(86%)が報告したのに対し、プラセボ群では78人中14人(18%)だった。吐き気または嘔吐は、投薬群で19人(29%)、プラセボ群で8人(10%)に発生した。重篤な有害事象は報告されなかった。
2件目の試験は、医学誌Clinical Infectious Diseasesに6月4日付で掲載された。1950年代に初めて承認されたジェネリックの糖尿病治療薬メトホルミンを、米国全土の90施設から集めた30歳以上の成人2983人を対象に検証した。ACTIV-6プラットフォームの一環として実施され、ミネソタ大学のキャロリン・ブラマンテ氏が主導した。四重盲検のこの試験では、参加者を速放性メトホルミンまたはプラセボの14日間投与にランダムに割り付け、投与スケジュールは漸減式で、1日1回500 mgから始めて1日2回1000 mgまで増量される内容だった。
対象集団は大半が免疫を獲得していた。参加者の83%が過去のワクチン接種または過去の感染歴を持ち、試験の登録は疾患の重症度が低い時期に行われた。年齢の中央値は47歳で、63%が女性だった。糖尿病の人はわずか2%だった。ロングCOVIDのイベント発生率は低く、180日時点でCOVID-19に起因する症状を報告したのは79人(2.6%)で、いずれの群でも死亡はなかった。
主要評価項目は、180日時点で参加者が何らかのCOVID-19症状を報告したかどうかを測定するものだった。メトホルミン群では1439人中33人(2.3%)が症状を報告したのに対し、プラセボ群では1544人中46人(3.0%)だった。共変量で調整したリスク差はメトホルミン群で0.8パーセントポイント低く、95%信用区間はマイナス2.2~0.6だった。有効性の事後確率は0.83だった。有効性を宣言するための事前指定の閾値は0.975だった。主要評価項目は達成されなかった。
副次評価項目は異なる結果を示した。180日時点で、メトホルミン群では8人(0.56%)が医師によるロングCOVIDの診断を受けたと報告したのに対し、プラセボ群では18人(1.17%)だった。リスク比は0.495、95%信用区間は0.155~0.995で、有効性の事後確率は0.96だった。医師が診断したロングCOVIDが50%減少したこの結果は、同じくブラマンテ氏が主導した先行試験COVID-OUTの結果を再現するもので、同試験では同じメトホルミン投与レジメンで41%の減少が報告されていた。
ACTIV-6試験で主要評価項目と副次評価項目の結果が分かれたのは、ロングCOVIDの定義をめぐる根本的な曖昧さを反映している。主要評価項目は患者が報告する症状を測定するもので、参加者が自身の感染に起因すると考える持続的な不快感をすべて捉える、広く主観的なエンドポイントだ。副次評価項目は、医療提供者がロングCOVIDと診断したかどうかを測定するもので、参加者が医療機関を受診し、提供者がその帰属を判断することが必要な、より狭く臨床的により重要なエンドポイントだ。大半が免疫を獲得し、リスクが低く、症状発生率も低い集団では、患者報告による測定は、医師による診断という測定が明確なシグナルを示したにもかかわらず、治療とプラセボを区別する統計的検出力を欠いていた。
2件の試験を合わせると、早期介入がロングCOVIDのリスクを減らせる可能性が示唆されるが、その仕組みもエビデンスの水準も異なる。ノルウェーの試験は、急性期に直接作用型抗ウイルス薬でウイルスの複製を抑えることで、持続症状のリスクを40%減らせることを示している。ただし、サンプルは小さく、プラセボ群の症状発生率が際立って高かった。ACTIV-6試験は、直接的な抗ウイルス作用ではなく抗炎症作用と宿主指向性のメカニズムで働くメトホルミンが、広範な外来患者集団において正式なロングCOVID診断のリスクを半減させることを示している。ただし、その効果は主要評価項目には届かなかった。
両試験とも同じ方向を指している。どちらも単独では決定的とは言えない。ノルウェーの試験は規模が小さすぎて一般化できない。ACTIV-6試験では、主要なシグナルがイベント発生率の低い集団の中で埋もれてしまった。2件が合わせて示すのは出発点である。すなわち、ロングCOVIDの病態は急性期以降も固定されたものではなく、異なる原理(直接作用型抗ウイルス薬と宿主指向性)で選ばれた薬剤がその経過を変えられるというエビデンスだ。
雅子 訳
参考文献
Oppegaard, O., Blomberg, B., Cox, R. J., et al. Nirmatrelvir for acute COVID-19 to prevent long COVID (PANORAMIC Norway): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial. The Lancet Infectious Diseases (2026). DOI: 10.1016/S1473-3099(26)00244-6
Bramante, C. T., Stewart, T. G., Boulware, D. R., et al. Metformin on the presence of COVID-19 symptoms 6 months after infection: the ACTIV-6 randomized clinical trial. Clinical Infectious Diseases (2026). DOI: 10.1093/cid/ciag335

