
科学が知る中で最も強力な粒子加速器は、地球上の超伝導磁石のリングではなく、はくちょう座にある一対の恒星だ。中国のLHAASO観測所は、連星系はくちょう座X-3が粒子を30 PeVの閾値を超えて加速することを確認した。これは大型ハドロン衝突型加速器が生み出せるエネルギーの数千倍に相当する。この星系は、これまで観測された中で最も高エネルギーの光子の発生源である。
はくちょう座X-3は高質量X線連星だ。ブラックホールである可能性が高いコンパクト天体が、ウォルフ・ライエ星の伴星から流れ込むガスを取り込んでいる。このタイプの連星は既知で2つだけであり、肉眼では見えない。代わりに電波、赤外線、X線、ガンマ線の各波長で輝いている。天文学者たちは長い間、これを超巨大ブラックホールの周囲に見られるジェットの小型版であるマイクロクエーサーに分類してきた。
『National Science Review』に掲載された論文で、中国科学院高エネルギー物理学研究所が主導し、上海の李政道研究所と上海天文台が加わる共同研究チームは、この星系からの超高エネルギーガンマ線放射に激しいフレアが発生するというLHAASOの観測結果を報告している。フレアは、エネルギーが100万分の1のGeV帯放射と時間的に相関していた。活動期にはフェルミ衛星とLHAASOの両方が統計的に極めて有意な信号を検出した一方、静穏期にはLHAASOは何も検出しなかった。
信号のタイミングに重要な手掛かりがあった。放射は4.8時間の周期で脈動しており、これは連星の公転周期と一致する。このことからチームは、加速器を太陽の約3倍の幅の領域内に特定できた。これはこれまでに得られた超高エネルギー加速器の位置特定として最も精密なものであり、はくちょう座X-3は時間変動を示す超高エネルギーガンマ線放射源として初めて確認された事例となった。
この発見は天文学の新たな一分野を切り開く。超高エネルギー時間領域科学だ。これは、宇宙の加速器を静的な放射源としてではなく、活動を始めたり止めたりする存在として研究するものだ。また、ブラックホール近傍の物理にも新たな窓を開く。そこでは粒子が、この種の天体に対する理論的予想をはるかに超えるエネルギーまで加速される。この成果はマルチメッセンジャー天文学にも意味合いを持つ。このような極限環境で生み出された宇宙線は、いずれ発生源まで遡って追跡できるようになる可能性があるためだ。著者リストには、高エネルギー天体物理学の第一人者であるフェリックス・アハロニアンが名を連ねている。
この検出はLHAASO自体の実力を示すものだ。四川省稲城の海抜4410メートルに位置するこの観測所は、2019年4月以来、宇宙ガンマ線や粒子が生み出す空気シャワーを捉えてきた。この種の天体について理論が予測した値をはるかに上回るペタ電子ボルト級のエネルギーで変動する放射源を確認したことは、このような広視野検出器が果たす役割を示している。すなわち、宇宙で最も極端な加速器がフレアを起こす瞬間を捉えることだ。
雅子 訳
Sources: Variable super-PeVatron located in Cygnus X-3, opening a new window for ultra-high-energy time-domain astronomy (EurekAlert/Science China Press, Jul 26, 2026); Cygnus X-3 confirmed as universe’s most powerful particle accelerator at 30 PeV: LHAASO (Interesting Engineering, Aug 3, 2026); Cygnus X-3 confirmed as universe’s most powerful particle accelerator at 30 PeV – LHAASO (MSN, Aug 2026); China discovers universe’s most powerful particle accelerator (Qazinform/Xinhua, 2026)

