
インテルは、人工知能(AI)ワークロード、オンボードデータ処理、衛星や宇宙機の自律運用向けに設計されたシステムオンチップ「Starfire」を発表し、宇宙コンピューティング市場に参入した。
Starfireプロセッサは、CPU、グラフィックス処理、ニューラル処理、画像処理を単一パッケージに統合する。Ubuntu Linuxで動作し、x86アーキテクチャを採用しているため、既存のソフトウエア開発ツールの広範なエコシステムとの互換性を持つ。インテルは2026年末までに初回顧客提供が可能になるとしている。
本チップは2つの電力バリエーションで開発されている。電力バジェットに制約のある小型宇宙機向けの10ワット未満の低電力版と、より要求の厳しいワークロード向けの高性能版である。同社は10年を超えるミッションライフを目標としており、2026年第3四半期末までに耐放射線認定試験を完了する見通しである。
インテル・ガバメント・テクノロジーズの製品開発担当副部長ショーン・オニール氏は、従来の宇宙技術では将来のミッションを達成できないと述べた。
インテルが参入する市場には、国家安全保障向けの耐放射線システムオンチッププロセッサを製造するBAEシステムズ、NASAの高性能宇宙飛行コンピューティング(HSPC)プロセッサを開発中のマイクロチップ・テクノロジー、機械学習や高スループット処理向けの宇宙グレードVersalアダプティブSoCを提供するAMDなど、確立された競合企業が存在する。欧州のサプライヤーも宇宙・防衛用途向けの自社製耐放射線プロセッサを推進している。
インテルはStarfireへの総投資額を開示していないが、開発は全額を社内資金で賄ったとしている。組み立て、選別、認定作業のすべては、アリゾナ州チャンドラーにあるインテルのオコティロキャンパスで行われている。同キャンパスは700ヘクタールの敷地に5つの製造工場を擁する。国内サプライチェーンによるアプローチは、海外のチップ製造への依存を減らすという米国政府の広範な取り組みと軌を一にするものであり、2025年8月にインテルに発表された89億ドルのCHIPS法投資では、米国政府が同社の9.9%の受動的株式を取得している。
インテルは複数の政府機関やチャネルパートナーと提携契約を結んだとしているが、名称は明らかにしていない。また、2026年後半に実験ミッションに向けて米国政府機関との飛行機会を模索している。
Starfireは、テレメトリ、コマンドシーケンシング、データ圧縮、自律スケジューリングといった通常の宇宙機機能に加え、画像分析、物体検出、異常検知、センサーフュージョン、予知保全、オンボードヘルスモニタリングといったAI負荷の高いタスク向けに設計されている。
オニール氏は、宇宙空間で確実に動作する高度な処理へのニーズが普遍的に存在すると述べた。
雅子 訳
Source: SpaceNews

