
ソフトウェア開発者やスタートアップ創業者の間で、Claude Code、Codex、OpenClawといったAIコーディングツールが中毒に似た行動パターンを引き起こし、不眠、認知過負荷、燃え尽き症候群が広がっているとの報告が相次いでいる。
この現象は「AIブレインフライ(AI脳焼け)」とも呼ばれ、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)やカリフォルニア大学リバーサイド校の研究者の注目を集めている。BCGが米国の労働者1,488人を対象に行った調査では、高い監視要件を伴うAIツールの使用により、精神的努力が14%、精神的疲労が12%、情報過負荷が19%増加したことが明らかになった。また、4つ以上のAIツールを使用すると生産性が低下し、無制限の利益を約束するマーケティングの主張に反する結果となった。
著名なテクノロジー関係者が自身の苦闘を公にしている。OpenAIの共同創業者アンドレイ・カーパシー氏はNo Priorsポッドキャストで、2025年12月以降「AI精神病」の状態にあり、1日16時間をエージェント群の指揮に費やし、毎月のトークン許可量を使い切れないことに「極度の不安」を感じていると語った。Y CombinatorのCEOギャリー・タン氏は自身の状態を「サイバー精神病」と表現し、19時間にわたって起き続けているという。
Rootlyの共同創業者クエンティン・ルソー氏は、エージェンティックコーディングに切り替えた後、数ヶ月にわたる不眠症に苦しみ、最終的に処方睡眠薬が必要になったと述べている。同氏はAIコーディングツールを「スロットマシンのようなもの」と表現し、プロンプトを入力して出力を待つが、エージェントが完全に失敗することもあり、強迫的な入力・報酬サイクルが生まれると説明した。
問題は非現実的な管理職の期待によって悪化している。ブルームバーグは、AIコーディングエージェントがテクノロジー業界全体に「生産性パニック」を煽っており、楽観的なプレスリリースを読んだ管理職が劇的なスピード向上を期待するようになったと報じている。ハーバード・ビジネス・レビューは、AIは作業を減らすのではなく激化させるという研究結果を発表した。作業はAIが生成したアウトプットのレビュー、微妙なエラーの修正、他人が書いたコードの認知負荷の管理へと変化するのである。
カリフォルニア大学バークレー校が経験豊富なオープンソース開発者を対象に行った調査では、AIコーディングアシスタントを使用している開発者は、使用していない開発者よりも19%遅かった。AIが生成したコードのレビュー、検証、修正にかかるオーバーヘッドは、初期生成によって節約された時間をしばしば上回っていた。
この傾向は、素早くリリースするプレッシャーとAI生成コードの中毒性ループが重なるスタートアップで特に顕著である。開発者たちは、支援なしでコードを書く能力を失いつつあり、手動コーディングが比較して「困難で遅い」ものになったと感じていると報告している。
雅子 訳
出典:Claude coding addiction and why it can lead to startup burnout (TechRadar、2026年6月30日);“They operate like slot machines”: AI agents are scrambling developers’ brains (Axios、2026年4月4日);AI Brain Fry: The Developer Dependency Crisis (Noqta、2026年4月5日)

