中国YMTCが世界3位のNANDサプライヤーに浮上、AIサーバーがフラッシュ全体のほぼ半分を吸収

Tom’s HardwareとTechPowerUpが報じた業界調査によると、中国の長江メモリーテクノロジーズ(YMTC)は2026年4〜6月期に世界のNANDフラッシュ出荷量の14%を占め、出荷量ベースで初めて世界トップ3に入り、キオクシアを1つ下位に押しやった。

AI需要がフラッシュ業界を一変させた。ビット出荷量ではサムスンが25%で首位に立ち、SK hynixが22%で続いた。YMTCは14%を占めるとともに、出荷量が前年同期比22%増となった。第1四半期についてCounterpoint ResearchはYMTCのシェアを13%とし、マイクロンやサンディスクとほぼ同水準とした。同社は年末までに出荷量の15%を目指している。

とはいえ、量は価値と同じではない。売上高ベースではYMTCは依然として5位で、マイクロンや、出荷量で追い抜いたキオクシアの後塵を拝している。YMTCの生産量のほぼすべてはコンシューマー向け製品、すなわちクライアントSSD、スマートフォン向けストレージ、メモリーカードに向けられており、これらは現在市場を支配するエンタープライズ向けドライブに比べ、ビットあたりの収益がはるかに低い。それでも同社の売上高成長は劇的だ。TechNodeとCrypto Briefingが引用したCounterpointのデータによると、YMTCの第1四半期の売上高は約26億ドルで、前年同期比で約445%増となり、大手フラッシュベンダーの中で最も急速に拡大した企業となった。

需要側の主役はAIサーバーだ。同じ調査によると、当期に出荷されたNANDビット全体の48%をエンタープライズSSDとサーバー向けSSDが吸収しており、12か月前の約26%から拡大した。その原動力はトレーニングではなく推論にある。トレーニングのワークロードはアクセラレーターの近傍に配置された高帯域幅メモリーに依存する一方、モデルの推論処理には高速かつ低コストで読み出せる膨大な量のデータが必要であり、これはまさに大容量エンタープライズSSDのために設計された役割だ。SK hynixのエンタープライズストレージ部門であるSolidigmは、出荷量が四半期比40%増と急増しており、同じ変化の恩恵を受けた一社だ。

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この再配分は消費者に影響を及ぼす。ファブの生産能力には限りがあり、高収益のデータセンター向け製品に振り向けられたウエハーは、コンシューマー向けドライブには使われない。こうした理由から、ドライブ価格は今年に入って上昇を続けている。TrendForceは、NANDの契約価格が第3四半期まで四半期ごとにさらに10〜15%上昇すると見ている。

YMTCの立場を複雑にしているのは輸出規制だ。同社は2022年後半から米政府のエンティティーリスト(Entity List)に掲載されており、最先端の欧米製製造装置の入手を阻まれ、積極的な規模拡大にも制約を受けている。また、同社の生産量の大きな割合は中国国内で消費されるため、出荷の大半は欧米の店頭に並ぶことなく国内市場にとどまっている。要するに、YMTCは今やNAND市場で存在感を示すだけの出荷量を確保したものの、同社の生産がコンシューマー向けSSDの価格を引き下げることはないだろう。

雅子 訳

出典:YMTC breaks into the top three NAND makers for the first time(Tom’s Hardware、2026年8月);YMTC NAND Market Share Hits 14% as AI Servers Swallow Half of All Flash(Hardware Busters、2026年8月);YMTC NAND market share climbs to 13%(TechNode、2026年6月);YMTC’s NAND flash market share surges(Crypto Briefing、2026年6月)

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