
民生用ドローンが木に衝突するのを防ぐレーザー方式のセンサーも、米連邦通信委員会(FCC)が提案する用語では、軍事用ハードウェアの指標となる。FCCは、「軍用グレード」に分類される外国製ドローンのうち、以前に認可された機体の輸入とマーケティングを禁止する計画について意見を募っている。その草案の定義は、多くの民生用ドローンが障害物回避に用いるLiDARセンサーなど、量販製品で当たり前になった技術にまで及ぶ。
この提案は、公衆通知DA 26-758(PS Docket No. 26-189)に示されており、7月21日にFCCの公共安全・国土安全保障局と技術工学局によって公表された。8月3日には連邦官報(Federal Register)に掲載された。意見の提出期限は9月2日だ。制限が採択された場合、最終決定が連邦官報に掲載されてから180日後に発効する。
この手続きが異例なのは、FCCがすでに認可した製品にまで及ぶ点だ。2025年12月、行政当局の国家安全保障上の判断を受けて、FCCは外国製ドローンとその重要部品を、国家安全保障上許容できないリスクがあるとみなされる通信機器の登録簿であるカバードリスト(Covered List)に追加した。この登載によって新規の機器認可は阻止されたが、登載前に認可された機種は依然として輸入・販売が可能だった。新提案はこのグランドファザリング(既得権の温存)を終わらせ、対象カテゴリーに該当する承認済み機種の将来の輸入と販売を断ち切ることになる。FCCは、公益上必要とされる場合に対象機器の輸入、マーケティング、または販売を禁止することを認める自らの機器規則を根拠に挙げ、行動を起こす強い国家安全保障上の理由が存在するとの暫定的結論を下している。
FCCが提案する「軍用グレード」の定義は、7つのカテゴリーにわたる。群運用(スウォーム)が可能なドローン、防衛物品を統合するよう特別に設計されたドローン、熱画像ドローン、LiDARセンシングを備えたドローン、農業航空機に関するFAA規則に由来する用語である「経済的毒物」(economic poison)を散布できるドローン、ドローンのドッキングステーション、重量が25キログラム(55ポンド)以上の航空機である。カテゴリーは製造元ではなく能力によって定義されている。このうち2つは、民生用ハードウェアでは今や一般的な機能を表している。熱画像カメラは公共安全用・点検用ドローンでは標準装備であり、LiDARは人気の民生用機種で衝突回避技術となっている。いずれも広く販売されているカメラドローンであるDJI Air 3SとMini 5 Proは、障害物検出にLiDARを使用している。Tom’s Hardwareは、スウォームのカテゴリーが、ドローンのライトショーで使われる協調飛行する機群を含むほど広く定義されていると指摘している。
この提案は、対象としない範囲には慎重だ。顧客がすでに手にしているドローンは引き続き合法であり、FCCは既存の所有者が飛行を続けられることを強調している。連邦政府が使用するための輸入と販売、および商業的な試験と製品開発のための輸入と販売は継続される。カバードリストの恒常的除外措置、すなわちブルーUASの承認リスト、部品価値の少なくとも65パーセントが国内で生産された米国で組み立てられたドローン、条件付き承認を受けた機器も同様だ。カバードリストに載っていないドローン(米国製の機種を含む)は、その機能に関係なく影響を受けない。
同じ発表では、提案された禁止措置と、信頼できる製造業者向けの救済策がセットになっていた。FCCは、ブルーUASリスト掲載のドローンと、国内含有率65パーセントの基準を満たすドローンに対する除外措置を1年間延長し、2028年1月1日までとした。また、条件付き承認の終了日を撤廃し、国内生産に取り組んだ企業に恒久的な確実性を与えた。FCCによると、このアプローチによって米国拠点のドローンおよび関連製造に40億ドル以上が投じられ、数万平方メートル(数十万平方フィート)の生産スペースが開設され、数千の雇用が生まれたという。また、対象カテゴリーはレジャー目的の飛行愛好家が支配する市場のごく一部にすぎないとして、新たな制限による経済的損害は限定的だとの暫定的結論も下している。
この問題の実質的な中心は、民生用・商用ドローン市場を支配する深圳拠点のメーカー、DJIだ。8月7日、DJIは自社ブログのViewpointsで見解を示し、「軍用グレード」という枠組みは、第一対応者(ファーストレスポンダー)、農家、インフラ点検員、趣味の愛好家が使う民生機器まで巻き込むと主張した。また、民生用ドローンのLiDARは軍事的な能力ではなく安全機能だと述べた。同社は、貨物ドローン、農業用航空機、エンタープライズ向けプラットフォーム、ドッキングステーションを含む影響を受ける製品ラインは、商用・民生用のツールだとしている。さらに、承認済み機種の所有者は、いずれ交換部品の入手が困難になるか、不可能になる可能性があると警告している。DJIはこれとは別に、根底にある12月のリスト登載を法廷で争っている。2月に、DJIは第9巡回区連邦控訴裁判所に対し、事件番号26-1029で、カバードリストの決定の取り消しを求める申し立てを行った。FCCが法定の権限を超え、必要な手続きに従わず、憲法修正第5条に違反したと主張している。この訴訟は12月のリスト登載に関するもので、新提案とは別件だ。
FCCは、提案された定義が、真に軍用グレードではない機器を巻き込んでいないか、同等の米国製代替品が存在するか、制限が消費者と企業にどれほどのコストをもたらすかを問いかけている。この手続きは、ドローン規制の動きが相次いだ1か月の締めくくりとなる。7月、FCCはドローン企業に対する初の認可取り消し手続きを開始し、自社製ドローンが米国で製造されたという主張が虚偽だったとして、Odyssey Robotを対象とした。
雅子 訳
Sources: FCC moves to ban LiDAR-equipped foreign drones from US (Tom’s Hardware, Aug 9, 2026); FACT SHEET: FCC Takes Action to Secure the Drone Supply Chain (FCC, Jul 21, 2026); FCC Could Ban Sales of More Foreign Drones (DroneDJ, Jul 22, 2026); The FCC Is Weighing a Retroactive Ban on DJI Drones it Previously Allowed (PetaPixel, Aug 7, 2026); The FCC Could Cut Off Future Access to Popular DJI Drone Models in the U.S. (DJI Viewpoints, Aug 7, 2026); FCC Proposes Sales Ban On Foreign Thermal, LiDAR, And Docking Drones (DroneXL, Jul 22, 2026)

