
英国の会計検査院(NAO)は、人工知能とデジタル変革により公共部門が年間450億ポンド(約580億ドル)を節約できるという政府の主張に疑問を呈し、各省庁がその節約をどのように達成するかについて一貫した詳細な方法論を提示していないと指摘した。
7月20日に公表された報告書で、NAOは、各省庁が大規模な技術導入に伴う労働力、スキル、倫理的影響を適切に考慮せずに、AI主導の効率化の可能性を過大評価するリスクがあると警告した。
「公表された効率化計画には、各省庁がどのようにして期待される労働力効率を算出したかについての詳細が記載されていない」と報告書は指摘する。「各省庁が労働力効率を一貫して特定・推定していないリスクがある。また、広範なデジタル・AI導入に対応した労働力再編による効率化の機会を十分に特定できていないという、より根本的なリスクも存在する。」
NAOの評価は、議会の科学・イノベーション・技術委員会が以前に表明した懐疑的な見解と一致する。同委員会は450億ポンドという数字を「憂慮すべき楽観主義」であり、真の進歩を妨げる「誇大広告」の例だと評していた。政府研究所(Institute for Government)もこの数字に疑問を呈し、政府支出のほとんどは人件費かインフラに充てられていると指摘している。
報告書は、従来の効率性予測が見落としがちないくつかの障壁を特定している。公共部門には、AIによる節約を実現するために必要な技術的・デジタル的スキルが不足している。労働力計画はデジタル変革計画から切り離されたままであり、アントニア・ロメオ内閣官房長官は現在の計画が「AIとテクノロジーがどのように公務員の姿を変えていくのかを十分に反映していない」と認めている。また、倫理的懸念から一部の状況ではAIの導入が制限され、現実的に達成可能な節約が限られる可能性もある。
NAOの中心的勧告は、公務員のリーダーは、人員数、役割、スキル、仕事そのものの性質への影響を含め、長期的な労働力計画にAIとデジタル変革の影響を反映させる必要があるというものだ。デジタル計画とAI計画は戦略的な労働力計画と並んで位置づけられるべきであり、各省庁は労働力効率の詳細で一貫した見積もりを準備しなければならない。
厳格なデータ駆動型計画がなければ、約束された節約は憶測の域を出ないままであると報告書は示唆している。
Sources: Auditors tell UK government to do the math before banking on £45B AI savings (The Register, July 2026)
雅子 訳

